AI投資ツールの発展
投資用のAIは、世界各地で開発が進められてきました。これまでにないスピードと正確さで情報を処理し、効果的な投資戦略を提供するAIは、多くの投資家にとって貴重なツールになりつつあります。
先駆け?
日本における「AI投資ツール」の先駆けの一つとなったのが、ジャッジ社の「AI Referee(エーアイレフェリー)」です。
成長を続ける
AIの株式選別の向上には、時間と共にAIが学習し、成熟していくことが重要です。米国などの先進企業が開発を進めるAIはディープラーニングや強化学習などの性能を備えており、日々成長しています。最初は限られた成功にとどまっていましたが、経験を積むにつれて成功率が高くなっているようです。
将来の株価変動を完璧に予測することはできない
ただし、AIによる株式選別の成功例はあくまで一部であり、リスクも存在します。AIは過去のデータに基づいて予測を行うため、将来の株価変動を完璧に予測することはできません。市場の変動や予期せぬ出来事によって、株価は急激に変動することもあります。
バランスの取れたポートフォリオを
このため、AIの株式選別を利用する際には、常にリスクを認識し、バランスの取れたポートフォリオを構築することが重要です。AI Refereeに完全に頼り切るのは禁物。常にユーザーが主体的な洞察力と経験も併せ持つことが欠かせません。
AI Refereeとアルゴの違い
AI Refereeは、アルゴリズム取引(アルゴ取引)ではありません。アルゴ取引で使われているAI(人工知能)をさらに発展させ、自動的に銘柄を抽出できるようにしたロボット型の銘柄抽出システムです。
自動売買
アルゴリズム取引(略称:アルゴ取引)では、特定の論理やルールに従って売買を自動的に処理します。一方、AI Refereeは、株式を抽出するだけで、実際の売買はそれぞれの投資家が判断し、自己責任で注文を行います。
ヘッジファンドVS個人投資家
アルゴ用のAIを使う場合、まず、利用アルゴリズム(売買論理)の種類を選択します。その後、各種パラメーター(取引条件)を設定したうえで、自らの注文で株価が大きく変動するマーケット・インパクトを抑制しながら売買を実行します。主に機関投資家やヘッジファンドがこの方式を採用しています。一方、AI Refereeでは、投資家が取引条件やアルゴリズムを設定・選択する必要がありません。候補銘柄の抽出までのプロセスをすべてAIに任せることができます。株初心者を含めた個人投資家に向いています。
膨大な取引作業を短時間で処理
アルゴ取引だと、膨大な取引作業を短時間で処理することができます。投資戦略パターンも豊富に用意されています。証券会社を通さずに市場と直結する「DMA」との併用で、複雑化している投資戦略を的確に実行できます。これに対して、AI Refereeは取引自体を自動化することができません。ユーザーが自ら証券口座を開設し、自己判断で注文を行うことになります。
ファンドマネジャー型ロボット
AI Refereeも独自のアルゴリズムで動いていますが、そのアルゴは、証券アナリストやファンドマネジャー的な役割に特化しています。これまで人間が頭脳を駆使して行っていた「分析」の部分を、ロボットが担う形です。(ロボットと言っても、フィジカルな機械ではなく、コンピューター上に存在するソフトウェアです。)

口コミ監視・分析力
最先端のAIは、24時間365日、膨大なデータの収集と解析を行っているといいます。ファンダメンタルズやテクニカル分析などに加えて、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などのSNSやYahooファイナンス掲示板、5ちゃんねる(5ch)等の投稿内容を常に監視し、情報収集しています。ホットリンクの内山幸樹社長、イー・ガーディアンの高谷康久社長、エルテスの菅原洋一社長らが見れば、恐らく驚愕するほどの口コミ分析力に違いありません。
株価が大きく動くと予想される銘柄
さらに、ヘッジファンドが活用しているAIは、世界の経済指数も徹底的に分析し、多角的な観点から銘柄を吟味しているといいます。株価変動に関わる傾向を先読みし、日本や米国のマーケットで取引されている多数の銘柄の中から、有望株を絞り込みます。とりわけ株価が「短期間で大きく動く」と予想される銘柄を発掘することに力点が置かれています。
1 | ファンダメンタルズ |
2 | 売買需給 |
3 | SNSの情報・反応・口コミ |
AI発展史の延長線上
投資AIツールは、過去の人工知能の発展史の延長線上にあります。
名付け親はジョン・マッカーシー
「AI(人工知能)」という言葉が生まれたのは1955年です。 名付け親はダートマス大学のジョン・マッカーシー教授(数学)でした。 マッカーシー教授はその後大きく育つことになるAIに関する会議(ダートマス会議)も創設しました。 以後、AIという分野では、本来の実力を超えて、現実離れした未来予想図が描かれてきました。
マービン・ミンスキーの予言
1950年代にはチェスができるAIの開発がスタートしました。 1957年、経済学者ハーバート・サイモン氏は「コンピュータは10年以内にチェスで人間に勝てるようになるだろう」と予測しました。認知科学者マービン・ミンスキー氏は1967年に「“人工知能を創り出す”という課題は、いまから一世代も経ないうちにほぼ達成されているだろう」と述べました。

IBMがチェス世界王者に勝つ
1968年公開のSF映画の傑作「2001年宇宙の旅」では、AIを備えたコンピューター「HAL 9000」が宇宙船の乗組員とチェスをする場面が出てきました。 そして、開発スタートから約40年の時を経た1997年、米IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」がチェス世界王者に勝ち、長年の目標が達成されました。
自動売買機能を活用
個人投資家が「AI投資」を実践する際に、投資AIツールと組み合わせて活用したいのが、ネット証券が提供する「自動売買機能」です。取引が行われているザラ場を見ることができないサラリーマン投資家にとって、自動売買機能は必須アイテムです。
大半のネット証券がこの機能を提供しています。スイングトレードでは通常機能よりも頼りにできます。
なお自動売買機能とは、あらかじめ「株価がいくら以上(以下)になったら」という条件を設定し、その条件に合致すると発注されるシステムです。
ネット証券によって使える機能が異なりますので、実際にどんな機能があるのかを証券会社に確認する必要があります。スイングでは、少なくとも「逆指値注文」機能は駆使したいものです。
ただし、自動売買は便利だからといって、頻繁に繰り返しますと、売買手数料の負担が増えます。薄い値ざや取りではそれほど利益が得られないどころか、マイナスになることもありますから、しっかり計算をするべきでしょう。
「逆指値」注文とは
「逆指値」注文の機能は、株価が指定した価格以上になれば「買い」、指定した価格以下になれば「売り」という設定をする自動注文のことです。通常の指値注文と反対の形態をしています。
仮に400円で買った株を「10%安くなったら損切り、20%高くなったら利益確定」したいなら、360円で指値の売り注文をすると同時に480円で指値の売り注文を同時に設定します。
「逆指値注文」は、「節目」戦術を有効に利用できます。
たとえば、株価が抵抗線や支持線をブレークしたあと、買い増ししたり、損切りをしなければなりません。
「逆指値注文」をあらかじめ設定しておくと、条件を満たしたとたん、システムが確実に実行してくれます。
なお、この機能は、通常注文と併用することも可能です。「逆指値付き通常注文」といいます。
注文変更
お昼休みなどに株価を確認できる人は、保有株が前場でよい動きをしている時などは、「逆指値付き通常注文」を変更することができます。
売りポイントを上げるわけですが、すでに利益が乗っている場合には、「逆指値」の売りポイントも上げていきますと、いきなり下に株価がぶれることが起きても、利益を取ったまま売買を終了できます。
自動売買ならではの、即効性のある機能といえます。株価の波動をきちんと把握していると、この自動売買機能が一層うまく活用できるでしょう。
【参考データ】日本の短期急騰銘柄
日本(東京市場)における近年の短期急騰銘柄の事例です。あくまで一般的なケースであり、AIレフェリーが抽出したわけではありません。
銘柄 | 安値 | 高値 | 上昇倍率 |
---|---|---|---|
ジーエヌアイグループ
(2160) |
1385円
(2023年8月15日) |
2271円
(2023年8月24日) 現在の株価→ |
1.6倍 |
内海造船
(7018) |
1770円
(2023年8月1日) |
7390円
(2023年8月16日) 現在の株価→ |
4.1倍 |
エコートレーディング
(7427) |
822円
(2023年7月7日) |
1200円
(2023年7月12日) 現在の株価→ |
1.4倍 |
enish
(3667) |
427円
(2023年5月19日) |
945円
(2023年6月15日) 現在の株価→ |
2.2倍 |
創建エース
(旧:クレアHD) (1757) |
20円
(2020年5月21日) |
200円
(2020年7月6日) 現在の株価→ |
10倍 |