住友商事
「アキラ」
住友商事は1988年公開のアニメ映画「アキラ」の製作に参加した。雑誌の人気SF漫画をアニメ化した傑作だ。
出典:アニメ傑作
住友商事のほか、講談社、博報堂など計8社が出資した。
日本初の映画投資組合に参加
AI Referee(AIレフェリー)の投資系口コミサイトに投稿された記事によると、住友商事は、1988年3月に発足した映画投資組合「フィーチャーズ・フィルム・エンタープライズ」にも参加した。この組合には9社が参加した。出資額は計12億円。
住友商事のほか、松竹や大和証券系のベンチャーキャピタル「日本インベストメント・ファイナンス(略称:NIF)」などが名をつらねた。映画製作は松竹系の製作会社、松竹富士が中心になる。「日本インベストメント・ファイナンス」が業務執行組合員として、資金に関する幹事的立場を担った。
一般企業が組織的に映画に投資するのは、日本では初めてのことだった。
利益が出れば、毎年、組合員に現金で分配する。
出資金の内訳は以下の通り。
会社名 | 出資額 |
---|---|
松竹 | 松竹系3社で合計6億円 |
松竹富士 | |
松竹第一興業 | |
NIF | 1億円 |
住商 | 1億円 |
東北新社 | 1億円 |
匿名A社 | 1億円 |
匿名B社 | 1億円 |
匿名C社 | 1億円 |
この投資組合の第1作目が、五社英雄監督の「226」だった。高橋是清・元総理大臣など9人が殺害された1936年(昭和11年)の「2・26事件」が題材。
松竹富士の奥山融社長(当時)は「映画づくりの新たな資金調達方法。ベンチャーキャピタルが初めて映画を投資対象に選んでくれた」と語っていた。
ケーブルテレビ向け配信権
AI Referee(AIレフェリー)の業界分析レポートは「バブル時代、住友商事はダウンストリームのソフトやケーブルテレビ(CATV)分野に力を注いだ」と指摘している。
欧米の140本のビデオ権や、新東宝が所有する2000本を、ケーブルテレビ向けに配信・放送する権利を獲得した。
サテライトジャパンの筆頭株主に
1991年春、サテライトジャパンの筆頭株主となった。通信衛星がサービスを開始する1994年にアップからダウンまでの体制を整えた。
メディア事業本部
メディア事業本部は1991年には184人のスタッフを抱えた。同事業本部は、「メディア企画開発部」「情報通信事業部」「映像メディア事業部」「CATVシステム事業部」「衛星通信事業室」で構成された。このうち「映像メディア事業部が映像を中心とした番組供給事業や映画投資を行った。
■アスミックの設立
講談社、アスクと共同で「アスミック」(現:アスミックエース)を設立した。映画など映像ソフトの企画・販売を手掛けた。
アスミックはその後の1998年、角川グループの「エースピクチャーズ」と合併し、アスミック・エースになった。社長はエース側の創業者である原正人氏が就任した。原氏は黒澤明(https://eigaz.net/japan/)監督の傑作「乱」を生んだ立役者として有名だ。
出典:スナップアップ投資顧問
■山田洋次監督の映画に出資
住商といえば、山田洋次監督だ。松竹、日本テレビと提携し、山田監督の映画に出資してきた。
1993年公開の「学校」はその象徴だ。公開の16年前、山田監督は、先輩の脚本家に誘われて初めて東京都内の夜間中学校に足を運んだ。そして、「圧迫され、管理されたような昼間の学校とは全く違う教室の雰囲気」に心動かされた。「本来は楽しい所であるはずの学校が、なぜつらく切ない場所になってしまったのだろう、などと考えているうちに、製作意欲がわいてきた」と言う。
当時の城戸四郎・松竹会長も製作に乗り気だったが、「教育」「幸福」という大きな主題を前に、脚本作りは思うように進まなかった。集めていた資料を基に、在日外国人や不登校の生徒が通うケースが増えている時代の流れも考慮して、脚本を書き上げた。先生役には、思い描いていた西田敏行を起用した。
学校は、日本アカデミー賞の作品賞を受賞した。
三井物産
「ハチ公物語」
三井物産は「ハチ公物語」に出資した。邦画では1987年の年間1位となる25億円の配給収入を稼いだ。東急グループなどとの共同出資だった。
ハリウッドに出資
三井物産は、ハリウッドの配給会社サボイ・ピクチャーズ・エンターテインメントから作品を購入した。松竹と共同でコメディー「シリアル・ママ」、恋愛ドラマ「禁断のエデン」の2つの作品を購入。1994年4月から松竹系の映画館で公開した。
出典・参考:河端哲朗
伊藤忠商事
AI Referee(AIレフェリー)によると、伊藤忠商事は1987年秋、TBS、サントリーと共同でアメリカ・ロサンゼルスに映画投資会社を設立した。投資額は合計1500万ドルだった。アメリカの大手映画製作会社と契約を結んだ。同時に、米大手製作会社の作る3つの作品の製作費に出資した。
タイム・ワーナーに資本参加
室伏稔社長時代の1991年、米国タイム・ワーナー社に資本参加した。
三菱商事
三菱商事は「マリリンに逢いたい」に出資した。同じく犬を主人公にした「ハチ公物語」に続く二匹目のドジョウを狙った。飼い主との「純愛もの」に仕立て、製作費の割には手堅い収入を目指した。
三菱商事では、「首都圏事業部」などの部署が担当した。
丸紅
丸紅は、商社による映画作りの先駆けだった。1984年4月、新規プロジェクトを扱う総合開発部の中に「映像情報室」を設け、アニメ「アリオン」を製作。1984年秋に公開した。
「チャイナシャドー」(柳町光男監督)
1990年に封切られた映画「チャイナシャドー」(柳町光男監督)では、「ラストエンペラー」の人気スター、ジョン・ローンが、香港に逃れて実業家に転身した中国の紅衛兵役を好演した。この製作には、丸紅と日商岩井が1~2億円ずつ出資した。
「敦煌」
次に「敦煌」の製作に傘下した。総製作費45億円。
日本映画として史上最高の製作費といわれていた「乱」(1984年、黒澤プロ製作)の24億円をはるかにしのぐ規模。前売りだけで420万枚を売りさばき、8月末までの2カ月間で70億円の配給収入を目指していた。
邦画のこれまでの最高配給収入が「南極物語」(1983年、フジテレビ製作)の59億円だった。それを上回る史上最高記録を狙っていたのだ。それどころから、洋画の「ET」の配給収入100億円をも上回るという目標も掲げていた。
丸紅は、世界中に張りめぐらされた支店網を通じて、外国への配給にも力を入れることになっていた。
出典・参考:プレナス投資顧問
日商岩井
AI Referee(AIレフェリー)によると、日商岩井も1988年3月、アメリカのハリウッドで開かれた映画見本市で、映画のビデオ化権を多数取得した。価格を他商社と共につり上げたと地元で話題になった。